2006年04月17日

スリランカ①

スリランカ(人口2000万人の光り輝く島)
 
 沖縄から福岡、シンガポールと経由してたどり着いたコロンボ国際空港。真夜中にも関わらず、両替所は全ての窓口が開いており、タクシー斡旋もしつこく声をかけてくる。また、多くの現地人が空港でたむろっており、肌の色の違う我々は狙われているような不気味さを感じた。この島は北海道より小さく、九州より大きいお茶で有名なセイロン島。空港はコロンボから車で1時間の場所だが、人の多さに驚いた(こんな時間までなぜいるのか聞いてみたい)。
今回の訪問先はコロンボから車で5時間の地方都市マータラ。コロンボを過ぎると片側1車線となり、クラクションを鳴らしながら小型三輪を追越し、人を威嚇して平均40km/hで走行する。日本の感覚では恐くて運転できそうもない。1車線に人も車も小型三輪もみんな一緒に走っている。道幅は狭いが車中心の社会に向かっていくのが感じられた。
マータラまで行くルートは一つしかない。波の高いサーファー好みのビーチ沿いを行くのだが、そこから見える景色は右手にはインド洋、左は復興工事であった。(写真:復興の様子)

 マータラについたのは夕方16時。その足でNGOの代表者でありお坊さんでもあるラタナサーラ氏(今回のコンタクトパーソン)のもとへと向かった。彼の寺は薄暗く、名詞の字を見るのもやっとである。この地の左右もわからず、建設敷地があるのかと基本的な不安を抱える我々は、会うや否や敷地を確認したいと要望を伝え、学校へと向かった。寺から山道を走らせること10分で学校へ着いた。この学校には小学生から高校まで1447人が在籍しており、平屋から3階建てまでの大小様々な12棟の建物が建っていた。その片隅に図書館建設用地の土工事が行われており、敷地寸法を歩測してみたところ、図面通りの建築が収まりそうだったので一安心した。
 その後、宿へチェックインする間もなく、坊さんは弁護士2人を連れてきて契約やお金の話へとなった。夕食時間にも関わらず、粘り強い交渉が続く。結局は我々が提示する3回に渡る出来高払いが納得してもらえなく明日へ持ち越しとなった。
 
 郷には入れば郷に従えなのか、日本とは違う契約方法に悩まされ、相手をどこまで信用して良いのか不安な夜を過ごした。この日は朝からスリランカ料理。カレーと米ソーメンを食べて出発。同行して頂いたチャンドララール先生の伝手で、JICA沖縄で勤務経験のある財務省のアルウィス氏がコロンボより駆けつけてくれた。仕事の合間をぬって来てくれた彼は、日本とスリランカの正常な国際協力のために尽力を捧げてくれるとのことである。昨日の難航した交渉を伝え、新たな布陣を整えた。教育長や校長、マータラ市長等、各要人を表敬し一通りの儀典的活動を終え、午後からは南部州建設部長室で契約調整へ挑んだ。関係者ほぼ全員が顔をそろえ、契約書と見積書を確認。まずは、アルウィスが見積り金額の適正さを問いただし、金額の妥当性が理解できた。ここで、3回払いの交渉へ。やはり、難色を示される。この地の中小建設業者は資金力が無く、前金制で仕事をしているとのこと。闇金がなさそうな手応えを感じ、相手の立場も理解できてきた。このことから、契約締結時の額をUPさせ、その分工事完了時の額を減らし(合計は変わらず)、3回の出来高払いとしたところ合意形成を図ることができた。2日間にわたる交渉後、第3者チェックをアルウィス氏が引受けてくれるということになり、安心して資金を渡せる環境が整った。この日、マータラ市長は気を良くしたのか、我々は邸宅へ招かれ、うまい酒とともに夜の国際交流へと入っていった。

 交渉がまとまった翌日、学校側に呼ばれて行ってみると、地鎮祭が始まった。全校生徒の笑顔に迎えられながら敷地まで案内され、手厚い歓迎を受けた。この瞬間、疑惑は完全に無くなり、今回のプロジェクトの成功と楽しさを感じ取ることができた。
 このお坊さん、実はかなりの実業家で、海水から塩を作り収益金で孤児院を建て運営するNGO活動も行っている。大津波時の米不足が続いたときには米を調達し市民に供給した人物とのこと。そのおかげで市長とお坊さんの信頼関係は強く結ばれている。また、米国に留学経験もあり、さらに日本語も話せるインターナショナルなお坊さんであった。
 
 日本と同じ島国で、数少ない左側通行の国。大量のODA基金もつぎ込まれ発展著しいスリランカが早く津波の影響から立ち直り、子供たちの未来をつなげていけるような持続可能な発展を願いここにつづる。


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